教材・道具研究で検討された方法
絵カードで、予定や手順、伝えたいことを見せる
この記事は、公開されている資料をもとに編集部がまとめたもので、専門家の監修は受けていません。根拠にした資料は記事の最後の「出典」に載せています。下書きの作成に AI を使い、出典との照合は人が行っています(編集方針)。
予定や手順を、写真や絵のカードを順番に並べて見せます。終わったものはカードを外して、「今」と「次」がわかるようにします。
ことばだけで伝えると、聞いたそばから消えてしまいます。写真や絵のカードなら、目の前に残るので、何度でも見て確かめられます。予定や手順を見せたり、子どもが伝えたいことを伝えやすくしたりするのに使います。
写真や絵で予定や活動を伝える支援は、自閉症のある子どもを対象にした研究で根拠のある実践とされ[1][4]、日本の学校向けの手引きでも、見通しをもてるようにする方法として挙げられています[2]。一方で、伝えたいことを絵カードで伝える方法の研究では、話しことばは増えなかった報告もあります[5]。カードは、ことばの代わりではなく、伝わりやすくする手助けの一つとして使ってみてください。
用意するもの・時間の目安
- 絵カード(このサイトの無料ツールで作るか、写真や絵を印刷する)
- カードを並べる場所(壁、ボード、クリアファイルなど)
- 時間の目安:10〜30分
試し方
- 何を伝えるかを決める(一日の予定、朝の支度の手順、外出先の予定 など)
- 子どもが見てわかる表し方を選ぶ。実物・写真・絵・文字のうち、その子の理解に合うものにする[2][3]
幼い子どもには、いつもの場所やものの写真がわかりやすいことがあります
- はじめは少ない枚数から。一度に見せる量は、その子の理解に合わせて調整する[2]
- 子どもの目の高さに、左から右(または上から下)へ順番に並べる。終わったカードは外すか「おしまい」の場所に移す[3]
- 予定が変わったときは、カードを差し替えて、変わったことを子どもと一緒に確かめる[3]
止める・変える目安
- カードを見せると嫌がる・不安が強くなるときは、いったんやめる
- カードに頼りすぎて、ほかのやりとりが減っていないか、ときどき見直す
合わないときは
- 絵でわかりにくそうなら、写真や実物に変える
- 枚数を減らす(「今」と「次」の2枚だけにする。まず/つぎボードも参考に)
- 子どもに合わせて見直し、必要がなくなったら外していく
気をつけること
- 研究の多くは、自閉症など発達障害の診断のある子どもを対象にしています
- 伝えたいことを絵カードで伝える方法(PECS)の研究では、カードを使ったやりとりは増えたものの、話しことばは増えず、効果が続かなかった報告もあります(その後の系統的レビューでは、基準を満たす方法の一つに挙げられています)
使える無料ツール
出典
写真や絵などで活動や日課を伝える「視覚支援」と、絵カードなどでやりとりを助ける方法(拡大・代替コミュニケーション)は、自閉症のある0〜22歳を対象にした系統的レビューで、根拠のある実践とされている
- Steinbrenner, J. R.、ほか. Evidence-Based Practices for Children, Youth, and Young Adults with Autism. UNC Frank Porter Graham Child Development Institute, National Clearinghouse on Autism Evidence and Practice, 2020. 該当箇所:Table 3.1(p.28〜29)、p.139「Visual Supports」ファクトシート、p.66「Augmentative & Alternative Communication」ファクトシート/系統的レビュー/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22注:自閉症の診断のある人を対象にした結論
日本の学校向けの手引きでは、絵カードや写真で見通しをもてるようにすることや、理解力に合わせて写真や絵のカードで予定を示し、示す情報の量も調整することが挙げられている。こうした支援は一人一人に合わせて見直し、外していく場合もあるとされている
- 障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~(第3編). 文部科学省, 2021. 該当箇所:印刷ページ p.244「Ⅶ 自閉症 1(1)」、p.261〜262「3(4) 自閉症のある子供に対する支援としての構造化」/診療・支援ガイドライン/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22注:自閉症のある子どもについての記述
- 発達障害のある人のコミュニケーションについて. 埼玉県 発達障害総合支援センター, 2025-05-14. 該当箇所:見出し「視覚的な情報を提示する」「事前予告をする」/公的機関の情報/関連する内容を述べている/参照日 2026-10-22注:写真や絵を添えること、絵カードやスケジュール表で前もって知らせることを述べている。学校向けの手引きではなく、情報量の調整や支援を外すことには触れていない
視覚的なスケジュールは子どもの目の高さに置き、終わったものがわかるようにし、予定が変わったら絵を差し替えて子どもと確認することが勧められている
- Using Visuals to Support Children in the Early Learning Environment. National Center for Pyramid Model Innovations(米国教育省 特殊教育プログラム局の資金による), 2025-06-04. 該当箇所:p.2「Visual Schedules」「How to Create a Visual Schedule」、p.3「Changes to the Schedule」/公的機関の情報/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22注:保育・幼児教育の場の子ども全般を対象にした手引きで、研究の引用はない
写真や絵で活動の順番を示すスケジュールは、自閉症のある人を対象にした系統的レビューで、指導と組み合わせた場合を中心に根拠のある実践とみなせるとされている
- Knight, V.、Sartini, E.、Spriggs, A. D.. Evaluating visual activity schedules as evidence-based practice for individuals with autism spectrum disorders. Journal of Autism and Developmental Disorders, 45(1), 157–178, 2015. 該当箇所:抄録/系統的レビュー/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22
伝えたいことを絵カードで伝える方法(PECS)は、2007年のランダム化比較試験で、自分から働きかける行動とカードの使用が増えた一方、話しことばは増えず、効果は介入の終了後に続かなかった。2010年のメタ分析では有望だが確立はしていないとされたが、2020年の系統的レビューでは、基準を満たす手順化された方法の一つに挙げられている
- Howlin, P.、Gordon, R. K.、Pasco, G.、Wade, A.、Charman, T.. The effectiveness of Picture Exchange Communication System (PECS) training for teachers of children with autism: a pragmatic, group randomised controlled trial. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 48(5), 473–481, 2007. 該当箇所:抄録/ランダム化比較試験/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22
- Flippin, M.、Reszka, S.、Watson, L. R.. Effectiveness of the Picture Exchange Communication System (PECS) on communication and speech for children with autism spectrum disorders: a meta-analysis. American Journal of Speech-Language Pathology, 19(2), 178–195, 2010. 該当箇所:抄録/系統的レビュー/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22
- Steinbrenner, J. R.、ほか. Evidence-Based Practices for Children, Youth, and Young Adults with Autism. UNC Frank Porter Graham Child Development Institute, National Clearinghouse on Autism Evidence and Practice, 2020. 該当箇所:p.66「Augmentative & Alternative Communication」ファクトシート(Manualized Interventions Meeting Criteria)/系統的レビュー/この内容を直接述べている/参照日 2026-10-22