イヤーマフは場面を決めて使う

遠くの花火を、イヤーマフをつけた子どもが大人と手をつないで見ている

避けにくい大きな音の場面を決めて、イヤーマフを使います。つける・はずすは本人が選びます。ふだんはつけっぱなしにせず、音に少しずつ慣らす工夫と組み合わせます。

イヤーマフは、資料によって勧め方がはっきり分かれる道具です。イギリスの病院の聴覚部門の資料は、頼ると過敏を強めるおそれがあるとして、勧めていません1。イギリスの作業療法の資料は「ほかの工夫で足りないときに慎重に」としつつ、とても役立つ子もいるとしています2。日本の公的な資料などは、自分で対処する方法のひとつとしています3。

研究は多くありません。日本の予備研究では、イヤーマフを使った期間に、目標の達成度が上がりました4。ただ、つけるのを嫌がった子もいました5。アメリカの6人の研究では、緊張を表す体の反応が下がっています8。どちらも、自閉スペクトラム症の子どもの少人数の研究です。

著者自身も、ふだんから使い続けるとかえって過敏を強める可能性や、話し声もさえぎってしまうことを挙げています6。ノイズキャンセリングヘッドホンは、人の声や突然の音には効きにくいとされています7。

このページの使い方は、こうした資料の範囲に収まるように考えたものです。場面を決めて使う、つけっぱなしにしない、音に慣らす工夫と組み合わせる、の3つです9。この組み合わせそのものを確かめた研究はありません。

イヤーマフの位置づけは資料によって分かれる123

勧めない

  • イギリスの病院の聴覚部門の資料
  • 頼ると、長い目で見て過敏を強めるおそれがある

慎重に

  • イギリスの子どもの作業療法の資料
  • ほかの工夫で足りないときに考える
  • とても役立つ子もいる

選択肢のひとつ

  • 日本の公的な資料、オーストラリアの子育て情報
  • 苦手な音に自分で対処する方法のひとつ

日本とオーストラリアの資料の一部は、自閉症の子どもについてのものです。イギリス・日本・オーストラリアの資料より。

用意するもの

試し方

  1. 使う場面を決める。花火、運動会のピストル、トイレのハンドドライヤーなど、避けにくい大きな音3
  2. 本番の前に、家で短くつけてみて、つけ心地を確かめる。締めつけを嫌がる子もいる5
  3. つける・はずすは、本人が選べるようにする。「うるさいからつける」と自分で決められるとよい3
  4. 家の中など、ふだんはつけっぱなしにしない16
  5. つけている間は、呼びかけや危険を知らせる音も聞こえにくくなることを気にかける6
  6. 別の日に、音の正体を教えたり、小さな音から慣らしたりする工夫も続ける9

止める・変える目安

合わないときは

試したことを記録する

気をつけること

関連する困りごと

出典

  1. Sound Sensitivity in Children. The Dudley Group NHS Foundation Trust, Audiology(英国の病院の聴覚部門), 2025. 本文(イヤーマフや耳栓を勧めないという記述)

    Sound sensitivity. Evelina London, Guy's and St Thomas' NHS Foundation Trust(英国の病院), 2026-04. 「Desensitisation」

  2. Sensitivity to Noise & Ear Defender Use Guidance. NHS Borders, Children and Young People's Occupational Therapy(英国の子どもの作業療法部門), 2023. 末尾(イヤーマフについての記述)

  3. 障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~(第3編). 文部科学省, 2021. 印刷ページ p.250「オ 感覚調整の補助及び代行手段の活用」(PDF の191ページ目)

    岡本邦広. 感覚過敏に対する指導・支援. 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター. ページ本文(イヤーマフが有効なこともあるという記述)

    感覚過敏のある人に対する優しい社会環境づくり. 埼玉県 福祉部 発達障害総合支援センター, 2025-04-25. ページ本文(耳栓・イヤーマフも一つの方法という記述)

    Sensory sensitivities & autism: 4-18 years. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 「How to help…oversensitivities」

  4. Ikuta, N.、Iwanaga, R.、Tokunaga, A.、Nakane, H.、Tanaka, K.、Tanaka, G.. Effectiveness of Earmuffs and Noise-cancelling Headphones for Coping with Hyper-reactivity to Auditory Stimuli in Children with Autism Spectrum Disorder: A Preliminary Study. Hong Kong Journal of Occupational Therapy, 28(1), 24–32, 2016. Results、Figure 1、Table 1

  5. Ikuta, N.、Iwanaga, R.、Tokunaga, A.、Nakane, H.、Tanaka, K.、Tanaka, G.. Effectiveness of Earmuffs and Noise-cancelling Headphones for Coping with Hyper-reactivity to Auditory Stimuli in Children with Autism Spectrum Disorder: A Preliminary Study. Hong Kong Journal of Occupational Therapy, 28(1), 24–32, 2016. Results

  6. Ikuta, N.、Iwanaga, R.、Tokunaga, A.、Nakane, H.、Tanaka, K.、Tanaka, G.. Effectiveness of Earmuffs and Noise-cancelling Headphones for Coping with Hyper-reactivity to Auditory Stimuli in Children with Autism Spectrum Disorder: A Preliminary Study. Hong Kong Journal of Occupational Therapy, 28(1), 24–32, 2016. Discussion

  7. Ikuta, N.、Iwanaga, R.、Tokunaga, A.、Nakane, H.、Tanaka, K.、Tanaka, G.. Effectiveness of Earmuffs and Noise-cancelling Headphones for Coping with Hyper-reactivity to Auditory Stimuli in Children with Autism Spectrum Disorder: A Preliminary Study. Hong Kong Journal of Occupational Therapy, 28(1), 24–32, 2016. Methods の使用機器(Equipment)の説明

  8. Pfeiffer, B.、Stein Duker, L.、Murphy, A.、Shui, C.. Effectiveness of Noise-Attenuating Headphones on Physiological Responses for Children With Autism Spectrum Disorders. Frontiers in Integrative Neuroscience, 13, 65, 2019. 本文(結果)

  9. Sound Sensitivity in Children. The Dudley Group NHS Foundation Trust, Audiology(英国の病院の聴覚部門), 2025. 「Reassurance」「Behavioural desensitisation」

    Sound sensitivity. Evelina London, Guy's and St Thomas' NHS Foundation Trust(英国の病院), 2026-04. 「Reassurance」「Desensitisation」