取り合いになったら、両方の気持ちをことばにする
1回 1〜10分

まず起きていることをことばにします。取られた子と取った子、それぞれの気持ちを受け止めます。そのうえで「交代する? 別のおもちゃにする?」と、どうするかを子どもと一緒に決めます。
取り合いになると、つい「貸してあげなさい」と言いたくなります。保育所保育指針解説では、指示するだけで終わらせないことが勧められています。両方が思いを出し合えるよう、大人が間に入って仲立ちします1。取られた子のくやしさも、取った子の「使いたかった」も、どちらも本当の気持ちです。
絵本を読むとき、親が子どもに気持ちを話させることが多いほど、1〜2歳の子がよく分けたり助けたりしていた、という研究があります5。自分で選んで分けた子は、指示されて分けた子より、その後も分けやすかったという実験もあります6。どちらも、取り合いの場面を直接調べたものではありません。

取られた子へ
- 「使ってたのに、取られて悲しかったね」
- 「〇〇ちゃんも、これで遊びたかったんだって」

取った子へ
- 「これで遊びたかったんだね」
- 「使いたいときは『かして』って言おうね」
保育所保育指針解説(1〜2歳児の保育)の関わり方をもとにした例より。
試し方
- たたく・押すなど手が出ているときは、まず止めて離す。話すのは落ち着いてから4
- 「二人とも、このおもちゃを使いたいんだね」と、起きていることをことばにする2
- 取られた子には「使ってたのに取られて、悲しかったね」、取った子には「これで遊びたかったんだね」と、それぞれの気持ちをことばにする1
- 相手の思いも伝える。取った子には「使いたいときは『かして』って言おうね」と伝える1
- 「交代する? 別のおもちゃにする?」「次はいつ使う?」と、どうするかを子どもと一緒に決める23
交代の長さを決めたら、視覚タイマーで残りを見せるとわかりやすいことがあります。大人だけで決めず、子どもと一緒に決めます
- 決めたことを手伝って実行し、できたら具体的にほめる2
- もめ続けるときは、そのおもちゃをいったんしまう。落ち着いてから、もう一度遊ぶ2
止める・変える目安
- たたく・かみつくなどになったら、話し合いより先に止めて離す
- 興奮が強いときは、気持ちをことばにするのは落ち着いてからにする
合わないときは
- 取り合いが起きそうなときは、大人が近くにいて早めに声をかける
- 遊ぶ前に、同じおもちゃを複数用意したり、特別なおもちゃをしまったりしておく
- 「かして」「あとでね」のやりとりを、ふだんのごっこ遊びで練習しておく
気をつけること
- 「貸してあげなさい」と言うだけで終わらせないようにします。先に使っていた子の「まだ使いたい」も、本当の気持ちです
- 自分で選んで分けた子が、その後も分けやすかったという研究があります。ただ、実験室でシールを分ける課題で、取り合いの場面を調べたものではありません
- 気持ちを話すことと分けることの研究は、つながりを見たものです。気持ちをことばにすれば分けられるようになる、とまではいえません
使えるツール

視覚タイマー
残り時間を目で見てわかる形にする
関連する困りごと
出典
保育所保育指針解説. 厚生労働省, 2018-02. 印刷 p.169–170(1歳以上3歳未満児・言葉の取扱い②)
Teaching children to share: an age-by-age guide. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2018-05-17. 「What to do if sharing is a challenge」の節
Social Development in Preschoolers: Learning How to Share & Cooperate. HealthyChildren.org(米国小児科学会), 2024-12-05. 「5 tips」の節
Social Development in Preschoolers: Learning How to Share & Cooperate. HealthyChildren.org(米国小児科学会), 2024-12-05. 怒りが手に出たときについての節
Brownell, C. A.、Svetlova, M.、Anderson, R.、Nichols, S. R.、Drummond, J.. Socialization of Early Prosocial Behavior: Parents' Talk about Emotions is Associated with Sharing and Helping in Toddlers. Infancy, 18, 91–119, 2013. 抄録
Chernyak, N.、Kushnir, T.. Giving preschoolers choice increases sharing behavior. Psychological Science, 24(10), 1971–1979, 2013. 抄録