バランス遊び
- 運動・感覚
2〜3歳、3〜5歳(園児)、6〜8歳(小学校低学年)|1回 5〜15分

床にマスキングテープで線を貼って、その上を歩きます。片足で立ったり、クッションを島のように並べて渡ったりもします。家の床の上で、短い時間でくり返せます。
線の上を歩く、片足で立つ、島から島へ渡る。どれも家の床の上でできる遊びです。幼児期運動指針は、4〜5歳ごろを、全身のバランスをとる力がとくに育つ時期としています1。同じ指針のガイドブックには、廊下や園庭に線を引くだけでも、体を動かしたくなる環境になるとあります10。
片足で立てる秒数は、資料によって書き方がちがいます。アメリカ小児科学会は、3〜4歳で5秒まで、4〜5歳で10秒以上を、その年齢によくある姿として挙げています12。母子健康手帳には、5歳のころに「片足で5秒以上」立てるかを、保護者が記録する項目があります13。秒数を比べるより、腕を広げたり、足を替えたりしながら一緒に楽しみます。
家では、ソファや椅子、テーブルの上を平均台の代わりにしません。床の上だけで遊びます。比較的低い所からの転落でも、頭の骨折などのけがが起きています14。公園の平均台や遊具で遊ぶときは、6歳以下は大人が付き添い、目を離さないようにします。ひもやフードのない服で、水筒やかばんは外して遊びます15。
期待すること

立つ・渡るなど、体のバランスをとる動きを経験できる。4〜5歳ごろは、全身のバランスをとる力がとくに育つ時期とされている1

低い平均台のような不安定な場所で遊ぶうちに、バランスを保つ身のこなしが身につく。周りの様子を予測する力も育っていく、とされている2

バランスの練習で、バランスの検査の成績が上がったという研究のまとめがある。ただ、練習だけを調べた研究は小学生以上が中心で、幼児の研究は運動の遊び全体を調べたものになる35
療育での使われ方
- 児童発達支援ガイドラインは、「運動・感覚」の領域で、姿勢や動作の基本の力を伸ばすことをねらいに挙げています。体の傾きや手足の動きを感じる感覚なども、遊びを通して使えるよう支える、としています6
- 知的障害の特別支援学校の小学部で、平均台や島わたりを入れたサーキット運動を、体育に取り入れた実践があります。教師が作業療法士の助言を受け、姿勢やバランスの向上をねらいました7
- 脳性まひ・ダウン症・発達性協調運動症・自閉症などのある子へのバランスの練習は、くらべた研究で調べられています。発達性協調運動症の国際的な推奨も、バランスの運動を含む練習が役に立つとした研究のまとめを紹介しています48
アメリカ小児科学会(その年齢によくある姿)
- 3〜4歳:片足で5秒まで立つ
- 4〜5歳:片足で10秒以上立つ
母子健康手帳(保護者が記録する項目)
- 5歳の頃:「片足で5秒以上、立つことができますか。」
母子健康手帳の項目は、保護者が「はい・いいえ」をつける記録で、判定の基準ではありません。アメリカ小児科学会の保護者向けの目安(3〜5歳)と、こども家庭庁の母子健康手帳の様式(2026年4月)より。
用意するもの
- マスキングテープ
- すべりにくいクッションや座布団
- お手玉(むずかしくするとき)
遊び方
- 床にマスキングテープでまっすぐな線を貼り、その上を歩く。慣れたら、くねくねの線にしたり、横歩きしたりする910
- 片足で立つ。両腕を広げて「星みたいに」。どちらの足が立ちやすいか、比べてみる9
- 踏み石のように物を並べて、渡るコースにする。家では、すべりにくいクッションや座布団を島にして、島から島へ渡る9
- 外では、地面の線や、低い塀・ベンチの上を歩く。大人はすぐ手を添えられるそばにいる。平均台は、公園や園の低いものを使う9211
やさしくする
- 線を太く、まっすぐにする
- 大人と手をつないで歩く
- 片足は、数秒から
むずかしくする
- かかととつま先をつけて、線の上を歩く
- 片足で立ったまま、腕を横に出したり、頭の上で振ったりする
- 頭にお手玉をのせて、線の上を歩く
止める目安
- 怖がるときは、線を太くする・島を近づけるなど、やさしい段階に戻す
- 疲れた・痛いと言うとき、嫌がるときは休む
気をつけること
- 研究の多くは、学校や専門家のもとで行われた練習で、確かさも高くありません。家でのバランス遊びの効果は、まだわかっていません
- ソファの背もたれ・椅子・テーブル・ベッドの上や、階段を、平均台の代わりにしません。家では床の上だけで遊びます
- クッションがすべる床では、床に貼ったテープの丸を島にします
- 塀やベンチの上は、外で大人がすぐそばにいるときだけにします
あわせて試せる工夫
関連する困りごと
出典
幼児期運動指針. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012-03. 4 幼児期の運動の在り方 (1)、(1) 1) 3歳から4歳ごろ、2) 4歳から5歳ごろ
幼児期運動指針ガイドブック 毎日、楽しく体を動かすために. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012. p.21「2. 幼児期における運動の意義 (1)」(印刷のページ。分冊PDF 1319748_5_1 の5枚目)
Gebel, A.、Lesinski, M.、Behm, D. G.、Granacher, U.. Effects and Dose-Response Relationship of Balance Training on Balance Performance in Youth: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine, 48(9), 2067-2089, 2018. 抄録
Nie, Y.、Deng, N.、Huang, D.. Systematic review and meta-analysis of balance training in children with developmental disorders. PeerJ, 14, e21272, 2026. 抄録、本文(結果、GRADE の評価)
Liang, Y.、Yang, Y.、Yuan, Y.、Chen, L.、Wang, T.、Luo, B.、Wang, J.、Zhuang, J.. Effects of physical activity interventions on physical fitness in preschool children: a meta-analysis of randomized controlled trials and dose-response study. BMC Public Health, 25, 3029, 2025. 抄録
児童発達支援ガイドライン(令和6年7月). こども家庭庁 支援局 障害児支援課, 2024-07. p.19「(イ)運動・感覚」
森川芳彦、西浦修平、松下圭輔、圖子美由紀、多田守、西田智子、青山夕夏、坂井聡. 知的特別支援学校小学部における姿勢・バランスの向上が日常生活動作に及ぼす影響について—作業療法士との協働によるサーキット運動の指導を通して—. 香川大学教育実践総合研究, 48, 45-52, 2024-03-31. 印刷 p.46「Ⅱ 対象・方法」、p.48〜49「指導内容」(1)体育、2)チャレンジタイムの活用)、p.49〜50「Ⅲ 結果」表4・表5、p.51「まとめ」
Blank, R.、ほか. International clinical practice recommendations on the definition, diagnosis, assessment, intervention, and psychosocial aspects of developmental coordination disorder. Developmental Medicine & Child Neurology, 61(3), 242-285, 2019. 5.2.2「Activity‐oriented or participation‐oriented interventions」(Offor らのメタ分析の紹介)
Balancing. Government of South Australia, Department for Education(オーストラリア南オーストラリア州教育省。保護者向けの活動案 Learning with your child (GreatStart)), 2025-10-30. 本文、「Questions to use」「Variation by age」
幼児期運動指針ガイドブック 毎日、楽しく体を動かすために. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012. p.14 の図、p.33(印刷のページ)
幼児期運動指針. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012-03. 4 幼児期の運動の在り方、配慮事項
Developmental Milestones: 3 to 4 Year Olds. American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org。Caring for Your Baby and Young Child 第7版(2019)より), 2023-04-04. Movement の項目
Developmental Milestones: 4 to 5 Year Olds. American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org。Caring for Your Baby and Young Child 第7版(2019)より), 2023-04-04. Movement の項目
母子健康手帳 府令様式(様式第三号). こども家庭庁, 2026-04. 【5歳の頃】(p.40)
子どもの転落事故に注意!-落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を-. 消費者庁, 2022-07-20. 本文冒頭、「子どもの転落事故の特徴」
こどもを事故から守る!事故防止ハンドブック(令和8年3月版). こども家庭庁 成育局安全対策課, 2026-03. p.7「遊具(すべり台、ジャングルジム、ブランコなど)からの転落(2歳以上)」注意ポイント1〜4

