体の動きがぎこちない(走る・跳ぶ・ボールが苦手)

3〜5歳(園児)、6〜8歳(小学校低学年)
走るとぎこちなく、よく転ぶ。ジャンプやけんけんが難しく、ボールを投げても前に飛ばない。鬼ごっこやボール遊びに誘っても、乗ってこないことが多い。
文部科学省の幼児期運動指針によると、3〜4歳ごろの動きには「力み」や「ぎこちなさ」が見られます。経験を重ねると、年齢とともに滑らかになっていきます1。同じ年齢でも、個人差は大きいとされています3。目安の年齢も、資料によって違います。片足のけんけんは、アメリカ小児科学会では3〜4歳、アメリカ疾病予防管理センターでは5歳ごろの項目です1112。
同じ指針は、「毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすこと」を目安にしています。家や園での時間を合わせ、散歩やお手伝いも含めて考えます4。この60分は、外遊びが1日60分に満たない幼児が4割を超えていたため、できそうな目安として示されたものです5。
世界保健機関は、3〜4歳に1日180分以上、体を動かすことを勧めています。そのうち60分以上は、中くらい以上の強さの動きです9。厚生労働省のガイドは、世界保健機関の2020年の推奨を参考に挙げています。こちらは5〜17歳のこどもに、中くらい以上の強さで1日60分以上動くことを勧めるものです10。同じ60分でも、意味が違います。
外遊びの時間が長い幼児ほど、体力の総合評価がよい傾向もありました。ただ、一時点の調査なので、外遊びで体力が伸びたかどうかまではわかりません6。
園で計画的に動きを教えるプログラムの研究をまとめると、基本的な動きが伸びていました。比べた自由遊びの組では、はっきりした変化はありませんでした14。ただ、家庭での方法を調べたものではなく、研究の確かさも高くはありません。
指針は、特定の運動ばかりをくり返すより、いろいろな遊びでさまざまな動きを経験することを勧めています。大人が一方的にさせないこと、早く結果を求めないことも挙げています47。うまくいったと感じられる経験を重ねられるよう、できそうなところから一緒に楽しんでみてください8。
動きがぎこちなく見える理由には、経験の差もあります。練習の機会が少ないと、はじめは「発達性協調運動症」(年齢に比べて動きがかなり苦手で、ふだんの動作に困る状態)のように見えることがあります。幼い子には、あとから追いつく子もいます。そのため国際的な推奨では、5歳未満で正式に診断するのは、重い場合に限るとしています15。
疾病予防管理センター(75%以上の子ができる時期)
- 2歳ごろ:走る、ボールを蹴る
- 2歳半ごろ:両足で跳ぶ
- 4歳ごろ:大きいボールをだいたい捕る
- 5歳ごろ:片足でけんけん
小児科学会(その年齢によくある姿)
- 3〜4歳:上手投げ、ボールを前に蹴る
- 3〜4歳:弾んだボールをだいたい捕る、三輪車をこぐ
- 3〜4歳:けんけん、片足で5秒まで立つ
- 4〜5歳:片足で10秒以上立つ、でんぐり返し
- 4〜5歳:ぶらんこ、よじ登る
同じけんけんでも、資料によって3〜4歳と5歳ごろに分かれています。アメリカ疾病予防管理センターとアメリカ小児科学会の資料より。
一時点の調査なので、外遊びで体力が伸びたかどうかまではわかりません。文部科学省が2007〜2009年度に行った幼児の調査より。
考えられる理由


動きの種類によって、よく経験する時期が違う。ボール遊びやなわ跳びのように道具を使う動きは、4〜5歳ごろから増えてくる21112


うまくいかないことが続いて苦手だと感じ、体を動かす遊びを避けるようになっているのかもしれない8
試せる工夫

いろいろな動きの遊びを、少しずつ合わせて1日60分
体を動かして遊ぶ時間が少ない、同じ遊びばかりになっているとき

2つから選んでもらう
体を動かす遊びに誘っても乗ってこないとき(「鬼ごっことボール、どっちにする?」)

何がよかったかを、具体的にほめる
苦手意識があり、うまくいった小さな一歩を伝えたいとき(「最後まで走れたね」)
止める・変える目安
- 疲れた・痛いと言ったら休む
- 嫌がるのに続けさせない
- 選ぶことが負担に見えるときは、大人が決めて伝える
- ほめられると照れて遊びが止まったり、嫌がったりするときは、声を小さく短くするか、あとで落ち着いたときに伝える
家でできるあそび

おうちサーキット
くぐる・跳ぶ・はう・渡るの場所を、家の中に3〜5か所つくって、順番に回る遊びです。

バランス遊び
床に貼ったテープの線の上を歩く、片足で立つ、クッションの島を渡るなど、体のバランスをとって遊ぶ遊びです。

ボール遊び
やわらかいボールを転がす・投げる・受ける・けるで、大人と行ったり来たりさせる遊びです。

鬼ごっこ
鬼が追いかけて、ほかの人が逃げる遊びです。しっぽとりや、仲間に助けてもらうルールなど、少しずつ形を変えて遊べます。

公園の遊具あそび
すべり台やブランコ、ジャングルジムで、すべる・揺れる・登る・ぶら下がるを、子どものペースで少しずつ楽しむ遊びです。

自然遊び・散歩
散歩や公園で、葉っぱや木の実を拾ったり、虫を見つけたりして、見て・さわって・話す遊びです。
出典
幼児期運動指針. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012-03. 4 幼児期の運動の在り方 (1)
幼児期運動指針. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012-03. 4 幼児期の運動の在り方 (1) 1)〜3)
幼児期運動指針. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012-03. 4 幼児期の運動の在り方 (1)、配慮事項
幼児期運動指針. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012-03. 4 幼児期の運動の在り方 (2)
幼児期運動指針ガイドブック 毎日、楽しく体を動かすために. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012. p.10
幼児期運動指針ガイドブック 毎日、楽しく体を動かすために. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012. p.10 の図「幼児の運動能力調査:体力総合評価」(文部科学省, 2011)、p.8(調査の説明)
幼児期運動指針ガイドブック 毎日、楽しく体を動かすために. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012. p.8、p.19
幼児期運動指針ガイドブック 毎日、楽しく体を動かすために. 文部科学省(幼児期運動指針策定委員会), 2012. p.25
リハ通信 VOL.9「不器用」ってなんだろう?. 東京都立府中療育センター(リハビリテーション科), 2025-07-22. 本文(1ページ)
To grow up healthy, children need to sit less and play more. World Health Organization(世界保健機関), 2019-04-24. 見出し「Children 3-4 years of age」
健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 厚生労働省. こども版 p.11(推奨事項と「(参考)」)
CDC's Developmental Milestones. Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター), 2026-02-17. 2歳・30か月・4歳・5歳のページ(Movement/Physical)、ページ冒頭の注記
Developmental Milestones: 3 to 4 Year Olds. American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org。Caring for Your Baby and Young Child 第7版(2019)より), 2023-04-04. Movement の項目
Developmental Milestones: 4 to 5 Year Olds. American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org。Caring for Your Baby and Young Child 第7版(2019)より), 2023-04-04. Movement の項目
Developmental Milestones: 3 to 4 Year Olds. American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org。Caring for Your Baby and Young Child 第7版(2019)より), 2023-04-04. 見出し「Developmental health watch」
CDC's Developmental Milestones. Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター), 2026-02-17. 4歳のページ
Logan, S. W.、Robinson, L. E.、Wilson, A. E.、Lucas, W. A.. Getting the fundamentals of movement: a meta-analysis of the effectiveness of motor skill interventions in children. Child: Care, Health and Development, 38(3), 305-315, 2012. 抄録
Wick, K.、ほか. Interventions to Promote Fundamental Movement Skills in Childcare and Kindergarten: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine, 47(10), 2045-2068, 2017. 抄録
Blank, R.、ほか. International clinical practice recommendations on the definition, diagnosis, assessment, intervention, and psychosocial aspects of developmental coordination disorder. Developmental Medicine & Child Neurology, 61(3), 242-285, 2019. 推奨4、4.1.1.1
リハ通信 VOL.9「不器用」ってなんだろう?. 東京都立府中療育センター(リハビリテーション科), 2025-07-22. 本文(1ページ)