ことばがつっかえる・最初の音をくり返す(吃音)

2〜3歳、3〜5歳(園児)
話し始めに「ぼ、ぼ、ぼくね」と最初の音をくり返す。急いで話そうとすると、最初のことばがなかなか出てこないこともある。
「ととととまと」のように最初の音をくり返すのは、吃音で最初に出やすい形です1。吃音は、幼い子にめずらしいことではありません9。
多くの子は、成長とともに吃音が消えていきます。消えるのは、始まってから2〜4年後くらいまでです。どの子が自然に消えるかは、前もってわかりません6。消える割合も、資料によって数字が違います7。
家での話しかけ方を変えるのは、親の話し方が悪いからではありません。吃音のある子の親の話し方は、ほかの親と変わらないとされています。話しやすい環境を、特別に整えるのがねらいです。吃音そのものが減るという根拠は弱いものの、親子の気持ちの負担が軽くなると考えられています8。専門家の指導を毎週受けながら、親が家で行う治療もあります。くらべた研究では吃音が減りましたが、研究をまとめた報告では、確かさはまだ低いとされています11。子どもが「言いにくい」と話してきたら、聞き流さずに受け止めます。吃音に触れないほうがよいという考え方は、いまは否定されています10。

くり返す
- 「ととととまと」
- 最初に出やすい形

伸ばす
- 「とーーまと」

出てこない
- 「…とまと」
- 声を出そうとしても出ない
日本の吃音の研究班の、家族向けの資料より。
吃音が始まった子のうち、消えた、または消えるとされる割合です。期間や数え方が資料ごとに違います。アメリカの推計は治療を受けた子も含み、子ども本人の報告も合わせると約60%に下がることがあるとされます。日本の研究班の資料(2021年)、国立障害者リハビリテーションセンターの発表(2024年)、日本吃音・流暢性障害学会の解説(2023年)、アメリカ言語聴覚協会の専門職向けの資料より。
考えられる理由

ことばがぐんと増えて、長い文で話し始める2〜4歳ごろに始まりやすい2

生まれ持った体質の影響が大きい。育て方や園での関わりのせいではなく、まねでうつるものでもない3

気持ちが高ぶっているとき、急いで話そうとするとき、きょうだいと競って話すとき、説明を求められたときに出やすい4

日や時期によって波がある。しばらく出なかったあとに、また出ることもある5
試せる工夫

大人がゆっくり話して、最後まで聞く
つっかえる子どもの話を、どう聞けばよいか迷うとき

1対1で話す時間と、話す順番をつくる
きょうだいで競って話すときや、急いでいるときにつっかえやすいとき

何がよかったかを、具体的にほめる
話し方ではなく、得意なことやがんばったことをほめたいとき
止める・変える目安
- 話しかけられるのを嫌がるときや、遊びに夢中なときは、無理に話させない
- ひとりで遊びたそうなときは、そばで見守るだけにする
- マイクの順番が、話すのを我慢させる決まりにならないようにする
- ほめられると照れて遊びが止まったり、嫌がったりするときは、声を小さく短くするか、あとで落ち着いたときに伝える
出典
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. お子さんがどもっている(吃音がある)と感じたら―家族にできるお子さんへのサポートについて―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料4). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.2「吃音について」
原由紀(文責)、井上史子(絵). おこさんがどもっていると感じたら(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料5). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. 内面「吃音とは」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.2「いつ吃音になるの?」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. お子さんがどもっている(吃音がある)と感じたら―家族にできるお子さんへのサポートについて―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料4). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.2「2〜3歳でことばがつっかえ始めた」
Stuttering in children and teenagers. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 節「When stuttering starts」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. お子さんがどもっている(吃音がある)と感じたら―家族にできるお子さんへのサポートについて―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料4). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.2「吃音について」
原由紀(文責)、井上史子(絵). おこさんがどもっていると感じたら(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料5). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. 内面「何が原因?」
日本の幼児における吃音の有症率・累積発症率が明らかに〜3歳までに、およそ10人に1人が吃音症状を示す〜(プレスリリース). 国立障害者リハビリテーションセンター, 2024-06-12. 「研究結果の概要」「研究の成果」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.3–4「話し方を真似していると吃音になるの?」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.3「どんなときにどもるの?」
原由紀(文責)、井上史子(絵). おこさんがどもっていると感じたら(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料5). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. 内面「対応方法は?」
Stammering. NHS(英国国民保健サービス), 2023-03-17. 節「What causes stammering?」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.4「吃音の波って?」
原由紀(文責)、井上史子(絵). おこさんがどもっていると感じたら(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料5). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. 内面「何が原因?」
Stuttering in children and teenagers. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 節「Stuttering: how much and how often it happens」
幼児吃音臨床ガイドライン作成研究班(研究開発代表者 森浩一). 幼児吃音臨床ガイドライン(第1版). 日本医療研究開発機構(AMED)研究開発課題「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」, 2021-09. 序文(p.i)
日本の幼児における吃音の有症率・累積発症率が明らかに〜3歳までに、およそ10人に1人が吃音症状を示す〜(プレスリリース). 国立障害者リハビリテーションセンター, 2024-06-12. 「結論と展望」
Stuttering in children and teenagers. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 節「What to do about stuttering in children and teenagers」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.3「吃音は治るの?」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.3「吃音は治るの?」
日本の幼児における吃音の有症率・累積発症率が明らかに〜3歳までに、およそ10人に1人が吃音症状を示す〜(プレスリリース). 国立障害者リハビリテーションセンター, 2024-06-12. 「結論と展望」
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日本の幼児における吃音の有症率・累積発症率が明らかに〜3歳までに、およそ10人に1人が吃音症状を示す〜(プレスリリース). 国立障害者リハビリテーションセンター, 2024-06-12. 「研究結果の概要」「結論と展望」
原由紀(文責)、井上史子(絵). おこさんがどもっていると感じたら(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料5). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. 内面「何が原因?」
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菊池良和(【1】文責)、原由紀(【2】文責)、吉澤健太郎(【3】文責). 吃音(きつおん)について. 日本吃音・流暢性障害学会 広報委員会, 2023-10-01. 【2】2「保護者の対応」
幼児吃音臨床ガイドライン作成研究班(研究開発代表者 森浩一). 幼児吃音臨床ガイドライン(第1版). 日本医療研究開発機構(AMED)研究開発課題「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」, 2021-09. Q9・A9(p.53)
Sjøstrand, Å.、Kefalianos, E.、Hofslundsengen, H.、Guttormsen, L. S.、Kirmess, M.、Lervåg, A.、Hulme, C.、Bottegaard Næss, K. A.. Non-pharmacological interventions for stuttering in children six years and younger. Cochrane Database of Systematic Reviews, 9(9), CD013489, 2021. 抄録
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. お子さんがどもっている(吃音がある)と感じたら―家族にできるお子さんへのサポートについて―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料4). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.4「最初の音のくり返しだけでなく、ことばが出ずに苦しそうな場合」
AMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班. 吃音(どもり)って何?―多くの皆様に知っていただきたいこと―(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料1). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. p.5「顔や体を動かしながらしゃべろうとします。これって吃音?」
原由紀(文責)、井上史子(絵). おこさんがどもっていると感じたら(幼児吃音臨床ガイドライン 添付資料5). 日本医療研究開発機構(AMED)研究班, 2021. 表紙側