会話が続かない・やりとりが一往復で終わる

3〜5歳(園児)、6〜8歳(小学校低学年)
「今日なにしたの?」と聞いても、「わかんない」「たのしかった」で終わる。かと思えば、自分の好きな話だけを一方的にして、こちらの話は聞いていない。
会話の往復は、年齢とともに少しずつ増えていきます。アメリカの目安では、3歳ごろに2往復ほど、5歳ごろに3往復を超えて会話を続けられるとされています1。その年齢までに多くの子ができることを並べた目安で、診断に使うものではありません2。
順番に話す、相手の話を聞く、話題を保つ。こうした会話の決まりは、幼児期から小学校の低学年にかけて身につけていきます3。3歳ごろは、自分の興味のあることに気持ちが向きやすい時期です。相手にわかるように話そうとするのは、相手への親しみが増してからです4。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として、相手の話を聞いて、伝え合うことを楽しむ姿が挙げられています5。
大人の関わり方でも、やりとりの数は変わります。子どもに先に話してもらう、自分ばかり話していたら待つ。こうしたことを親が学ぶプログラムでは、家での会話の往復が増えました7。ただ、子育て全般を扱うプログラムの一部なので、この工夫だけの効果はわかっていません。
幼い子の研究では、子どもが返事をするまでに、平均で1秒ほどかかっていました8。すぐに次を言わずに、少し待ってみます。
話に割り込むのは、この時期にはよくあることです。電話ごっこで交代して話すと、遊びながら順番を練習できます。「話したいときはママの腕に手をのせてね」と、合図を決めておくのも勧められています10。

3歳ごろ
- 少なくとも2往復の会話をする
- 「だれ」「なに」「どこ」「なぜ」と聞く

4歳ごろ
- その日にあったことを1つ話す

5歳ごろ
- 3往復を超えて会話を続ける
その年齢までに75%以上の子ができる項目で、診断に使うものではありません。アメリカ疾病予防管理センターの発達の目安より。

子どもの番をつくる
- 子どもの好きな遊びや話題についていく
- 子どもに先に話してもらう

大人の番
- 子どものあとに1回返す
- 自分ばかり話していたら5つ数えて待つ
子育て全般を扱うプログラムの一部です。アメリカの4〜6歳の子の親が受けた、9週間のプログラムの研究(2021年)より。
考えられる理由


自分の興味のあることに気持ちが向きやすい。はじめは、お互いに思っていることを一方的に伝え合うことが多い4

気質の違い。おしゃべりが好きな子は聞く番が、慎重な子は話す番が難しいことがあります。発達の特性が関わることもあります6

大人が先に話したり、返事を待たずに次を話したりして、子どもの番が少ない7
試せる工夫

その日のできごとを、一緒に思い出して話す
「今日どうだった?」に一言で答えて、話が終わってしまうとき

子どものことばを繰り返して、少し足す
子どもの一言に、どう返せば続くか迷うとき

問いかけながら読む絵本(対話的な読み聞かせ)
絵本を読みながら、問いかけて答えるやりとりを増やしたいとき

伝えたくなる場面をつくって、待つ
大人が先に話すことが多く、子どもから話しかけてくる場面を増やしたいとき

「かして」「いいよ」「あとでね」をごっこ遊びで練習する
ぬいぐるみや電話ごっこで、話す番と聞く番を遊びながら練習したいとき

何がよかったかを、具体的にほめる
話を最後まで聞けたときや、順番を待って話せたときに、それを伝えたいとき
止める・変える目安
- 疲れている・話したくなさそうなときは、1往復でやめる
- 質問が続いて黙ってしまうときは、質問をやめて、大人の感想だけを返す
- 話しかけられるのを嫌がるときや、遊びに集中しているときは、しばらく見守る
- 問いかけが多すぎて、子どもが絵本を楽しめていないときは、ふつうに読むだけに戻す
- 子どもが先を読んでほしがっているときは、問いかけをやめて読み進める
- 泣いたり怒ったりするほど待たせない。意地悪や我慢くらべにならないようにする
- 嫌がったり飽きたりしたら、短く切り上げる
- ほめられると照れて遊びが止まったり、嫌がったりするときは、声を小さく短くするか、あとで落ち着いたときに伝える
家でできるあそび

ごっこ遊び・見立て遊び
積み木をドーナツに見立てたり、人形にごはんを食べさせるつもりになったりする遊びです。子どもの遊びを一段ずつ広げます。

まねっこ遊び
子どものしていることを大人がまねして、動きや声をまねし合う遊びです。

自然遊び・散歩
散歩や公園で、葉っぱや木の実を拾ったり、虫を見つけたりして、見て・さわって・話す遊びです。
使えるツール

絵カードメーカー
予定や手順、伝えたいことを絵カードにする。印刷もできる
出典
CDC's Developmental Milestones. Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター), 2026-02-17. 3歳・4歳・5歳のページ(Language/Communication)
Key Points about CDC's Developmental Milestone Checklists. Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター), 2026-02-17. 本文(75%の基準と、スクリーニングや診断に使わないという記述)
Social Communication/Autism — Spotlight on: School-Age Children. American Speech-Language-Hearing Association(米国言語聴覚協会), 2019. 冒頭の「Social communication includes three major skills」(3つめのスキル)と続く説明
How to teach your child conversation skills. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 節「What are conversation skills」「Preschoolers (3-5 years)」「School-age children (5-8 years)」
幼稚園教育要領解説(平成30年2月). 文部科学省, 2018-02. 第2章 言葉 内容(4)(印刷 p.208)、第2章 人間関係 内容(6)(印刷 p.164)
幼稚園教育要領(平成29年3月告示). 文部科学省, 2017. p.5 第1章第2の3(9)「言葉による伝え合い」
幼稚園教育要領解説(平成30年2月). 文部科学省, 2018-02. 第1章第2節「言葉による伝え合い」(印刷 p.65)
How to teach your child conversation skills. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 節「Things that affect…」
Romeo, R. R.、Leonard, J. A.、Grotzinger, H. M.、ほか. Neuroplasticity associated with changes in conversational turn-taking following a family-based intervention. Developmental Cognitive Neuroscience, 49, 100967, 2021. §2.7 Intervention、§3.1
Nguyen, V.、Versyp, O.、Cox, C.、Fusaroli, R.. A systematic review and Bayesian meta-analysis of the development of turn taking in adult-child vocal interactions. Child Development, 93(4), 1181–1200, 2022. 抄録
CDC's Developmental Milestones. Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター), 2026-02-17. 5歳のページ(目安に届かないときや、できていたことができなくなったときの記述)
How to teach your child conversation skills. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 節「Practice」、ごっこ遊びの段落、節「Managing your child's interruptions」