手や服が汚れるのを嫌がる(のり・砂・絵の具・泥)

2〜3歳、3〜5歳(園児)、6〜8歳(小学校低学年)
のりや絵の具が手につくと、すぐに拭きたがったり泣いたりする。砂場や泥遊びには入らない。服が少し汚れただけで、着替えたがる。
小さい子は、水や砂、泥に触れて、感触を確かめながら育ちます。それでも同じ土を、あるときは気持ちよく、あるときは汚れて困ると感じるものです2。ぬれたものや、ぬるぬるしたものが苦手な子は多いとされています3。アメリカの小学生の親への調査では、泥を嫌がる子が1割ほどいました1。
触られるのが苦手な子に無理に触らせると、かえって不安が強まり、避けるようになります5。作業療法の資料では、乾いたものから始めることが勧められています。道具で触る、手で触る、ぬれたものへと、少しずつ進めます37。「汚い」「いや」と感じる気持ちは、大人の様子からも子どもに伝わるという研究もあります6。
汚れる遊びを楽しめる2〜5歳の子ほど、新しい食べ物を怖がりにくかったという研究があります。ただ、こうした傾向は親子で似ていて、どちらが原因かはわかっていません8。園で、触って遊ぶ遊びを5週間続けた研究もあります。食べ物以外の素材で遊んだ子も、ふだんどおり遊んだ子より、楽しんで食べた果物が多くなりました9。一方で、汚れへの苦手さそのものが減るかを確かめた研究は、見つけられませんでした。
7〜11歳の子の親の回答で、幼児のデータではありません。アメリカ・コネチカット州の925人の調査(2009年の論文)より。

まず乾いたもの
- 米やパスタにおもちゃを隠して探す
- シリアルを手でつぶす

手で触れないときは
- 木のスプーンやはけで触る
- 手より先に腕で試す

慣れてきたら
- ゆでたパスタやゼリー
- ヨーグルトを指でのばして描く
イギリスの公的医療機関の作業療法部門による、保護者向けの資料より。
考えられる理由


手は体の中でも、とくに感じやすいところ3

同じ砂や土でも、気持ちよいと感じるときと、汚れて困ると感じるときがある2

「汚い」「いや」と感じる気持ちは幼いころに育ち、まわりの大人の様子からも伝わる6

無理に触らせようとすると、不安が強まって、かえって避けるようになる5
試せる工夫

乾いたものから、少しずつ汚れる遊びへ
のりや絵の具、砂などに、家で少しずつ慣れていきたいとき

まず一緒に見て、入れそうなところを探す
園や公園で、ほかの子の砂遊びや泥遊びを離れて見ているとき

小さな段から、少しずつ慣れていく
砂場や水遊びの場所に近づくのも怖がるとき

2つから選んでもらう
筆で触るか指で触るかなど、触り方を自分で選ぶと取りかかりやすそうなとき

終わりを前もって伝える
いつ終わるのか分からないと、始めるのを嫌がるとき
止める・変える目安
- 泣く、手を引っこめる、顔をそむけるときは、その日はおしまいにする
- 触りたくないものは、決して無理に触らせない
- 強く嫌がったり、不安が強そうだったりするときは、無理に入らせない
- 泣き続けて落ち着かないときは、一つ下の段に戻る
- 無理に押し出さない。子どもが「もう少しやってみる」と思えるくらいの段にする
- 選ぶことが負担に見えるときは、大人が決めて伝える
- 伝えるたびに泣いたり怒ったりするときは、伝え方を変えるか、ほかの工夫を試す
家でできるあそび

お絵かき・なぐり描き
大きな紙に、太いクレヨンや指で、思いのままに描く遊びです。

工作(切る・貼る・折る)
紙を切ったり、貼ったり、折ったりして作ったものを、飾ったり遊びに使ったりする遊びです。

水遊び・砂遊び
じょうろやカップで水を注いだり、砂を型に詰めたりして、水と砂の手ざわりや変わり方を試す遊びです。

粘土遊び
粘土をこねたり、ちぎったり、丸めたりして、感触を楽しんだり、作ったものでごっこ遊びをしたりする遊びです。
出典
Ben-Sasson, A.、Carter, A. S.、Briggs-Gowan, M. J.. Sensory over-responsivity in elementary school: prevalence and social-emotional correlates. Journal of Abnormal Child Psychology, 37(5), 705–716, 2009. Results「Prevalence of Individual SOR Items」、Figure 1
保育所保育指針解説. 厚生労働省, 2018-02. 1歳以上3歳未満児の保育、領域「表現」(イ)内容①の解説(印刷 p.175/PDF p.180)
Messy Play Activities. NHS Borders, Children and Young People's Occupational Therapy Service(英国の子どもの作業療法部門). p.1
Play and Learning 9: Messy play. Child and Adolescent Health Service – Community Health(西オーストラリア州政府), 2023-06. p.1「What you can do」
Tactile System. NHS Borders, Children and Young People's Occupational Therapy Service(英国の子どもの作業療法部門). p.2
Top tips for messy play. NHS Fife(英国スコットランドの公的医療機関). 本文
Stevenson, R. J.、Oaten, M. J.、Case, T. I.、Repacholi, B. M.、Wagland, P.. Children's response to adult disgust elicitors: development and acquisition. Developmental Psychology, 46(1), 165–177, 2010. 抄録
Messy Play Activities. NHS Borders, Children and Young People's Occupational Therapy Service(英国の子どもの作業療法部門). pp.1–2(段階1・段階2)
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Coulthard, H.、Thakker, D.. Enjoyment of tactile play is associated with lower food neophobia in preschool children. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics, 115(7), 1134–1140, 2015. 抄録
Coulthard, H.、Sahota, S.. Food neophobia and enjoyment of tactile play: Associations between preschool children and their parents. Appetite, 97, 155–159, 2016. 抄録
Coulthard, H.、Williamson, I.、Palfreyman, Z.、Lyttle, S.. Evaluation of a pilot sensory play intervention to increase fruit acceptance in preschool children. Appetite, 120, 609–615, 2018. 抄録
Sensory processing disorder & difficulties. Raising Children Network(オーストラリアの子育て情報サイト), 2026-07-24. 「About sensory processing difficulties」